避妊

根拠のない俗説に惑わされず、正しい避妊法を知ろう。

避妊

望まない妊娠は誰でも避けたいもの。 けれど、そういう願いだけはあっても、避妊をきちんとしていない10代、20代の女性が案外多いんです。 因って相談に来る人に聞くと、その場の雰囲気で決めている、何となく避妊はしない、などという声が多い。

でも、それじゃダメ。 妊娠は自分の意志で防げるものです。 男性主導でなく、自分自身で避妊する習慣をつけましょう。

現在主流の避妊法は、コンドームと低用量ピルの2つ。 ピルは女性の意志でできる優れた避妊法。 ですが、STDは防げない。 両方の利点を生かし、男性はコンドーム、女性はピル、と二重に使うのが最も安心です。

ちなみに巷では、怪しい避妊法も流布している。 例えば射精後すぐに膣内を洗えば大丈夫、膣内に酢を少量入れ、酸性にしておくといい…などなど。 いずれもまったくの俗説。 根拠はありません。 外出しなら大丈夫、などの誤解もしかり。 正しい知識を身につけ、自分の体をきちんと守ってください。


避妊にまつわる4つの誤解。

生理不順だと妊娠しにくい。

これもよくある誤解のひとつ。卵巣機能が安定していないために、排卵が起こってないと考えるからでしょうか。 でも、これは明らかに間違い。 生理不順だと、正常な人より排卵のタイミングを推測するのが難しく、むしろ避妊しづらいと考えておくべき。 毎日が排卵日、くらいに思っておくのが正解です。

コンドームは、挿入直前に装着するもの。

行為の最中、おもむろにコンドームをつけて挿入…多くのカップルがとる方法ですが、実はこれはきちんと避妊していることにはなりません。 コンドームは、セックスの初めから装着しておくことが大事。 射精をする前の分泌液にも、微量ながら精子が含まれることがあるため、接触を始めた時点で装着してください。

外出しは避妊だ。

コンドームは面倒くさいし、ピルは何だか怖いからのみたくない…。 「ならば、とよく選ばれるのがこの手段。 でも“外出し”は避妊法のひとつではありません。 男性の意思によるところが大きく、避妊の効果は70%程度しかないのです。 現に、この方法で妊娠してしまう女性は後を絶ちません。 もちろんSTDを防ぐこともできないので、絶対NGと心得てください。

安全日は避妊しなくてOK。

生理後の○日間は安全日…などという声もよく聞くが、「精子の寿命(1週間生きることもある)を計算に入れると、確実な“安全日”というものはありません。 排卵が常に規則正しく起こるとは限らないので。 基礎体温だけに頼るのも、正確な避妊法ではありません。 過信せず、体調管理の参考程度にとどめるべきでしょう。

通常の基礎体温の表

コンドーム

正しく使えばSTDも妊娠も防げる、定番の方法。

コンドームの画像

日本はコンドーム王国。性能のいいものや、味付きなど工夫が凝らされたものもたくさん市販されています。

オーソドックスな避妊法なだけでなく、STD予防策のファーストチョイスでもある。ただし、破れたり、行為の最中に脱落したりというケースが。 正しく使わないと効果はありません。 破れるのを防ぐには、取り扱いを丁寧にし、あまりにも古いものは使わないこと。 きちんとしたつけ方を知っておくこともマストです。」

STD予防としては、挿入の直前ではなく、最初からつけておくことが基本。 また、彼がつけるのを拒む、途中で取ってしまった…というアクシデントに対応するために、女性側が装着の仕方・外し方を心得ておくことも大切。

正しいつけ方

  1. コンドームの正しいつけ方①

    爪を立てないように先端をつまみ、ひねって空気を抜く。

  2. コンドームの正しいつけ方②

    勃起したら、亀頭部分にかぶせるようにコンドームを置く。

  3. コンドームの正しいつけ方③

    空気が入らないように、精液が溜まる部分を軽く押さえ、根元まで巻き下ろすようにしてしっかりかぶせていく。

正しい外し方

  1. コンドームの正しい外し方①

    ペニスの根元を押さえながら、静かに抜く。

  2. コンドームの正しい外し方②

    精液をもらさないように注意しながら外す。

ピル

女性主導で避妊ができる。欧米のスタンダード、低用量ピル。

ピルの服用の画像

 99.9%という高い避妊率を誇るのが、低用量ピル。 卵胞ホルモンと黄体ホルモン、2つの女性ホルモンの刺激によって脳が卵巣に命令し、排卵が起こるのが女性の体のしくみ。 人工ホルモン剤を含んだピルをのみ、体内のホルモン量が増えると、脳は自分の卵巣からホルモンを分泌しなくていいと判断し、排卵が抑制されるのです。排卵が起こらなければ受精も起こらず、妊娠を防げる。

通常、排卵日を挟んで2つのホルモンは大きく変動しますが、ピルはその変動を穏やかにする。 PMS(ホルモンの波の影響で起きる、イライラや体の不調)なども解消できます。婦人科でならどこでも処方してもらえる。 費用は大体1か月分で3000円程度だそう。 欧米ではほとんどの女性が利用しているという使用量ピル。 正しくのめば、確実な避妊法。服用をやめれば、もちろん普通に妊娠ができます。

のんではいけない人は?

高血圧やコレステロール値が高いなど循環器系の障害がある場合や、乳がんや子宮がんなど婦人科系の病気の疑いがある場合は、ピルは服用できない。

また、ピルと相性の悪い薬やサプリメントとの併用もNG。 抗生物質をしょっちゅう服用する人はピルは控えて。 また、リラックス効果で知られるハーブの一種セントジョーンズワートも、ピルの働きを弱めます。 この成分が入ったサブリメントを常用している場合も、ピルはすすめられません。

のみ方は?

一日1錠、のみ続けるだけ。 ただし、のみ忘れに注意。 正しくのまないと避妊効果がなくなってしまう。 朝食後などタイミングを決めておくことが、のみ忘れを防ぐコツ。 万が一のみ忘れたら、次の一錠までの24時間以内にのむ。 2日以上忘れたらその時点でやめて、月経が起きた後に再スタート。 その間はコンドームなどで避妊します。

副作用はあるの?

昔の用量が多かったピルでは吐き気や頭痛、むくみ、嘔吐などさまざまな副作用が…。 ですが、今の低用量ピルではほとんどないといっていい。まれに、のみ始めの1~2か月に軽い副作用が起さることもあるが、たいていの場合、のみ続けていくうちにおさまる。

また、子宮がんや乳がんを増加させるとの指摘もあるが、相関関係はまだはっきりしない。 低用量ピルを服用している人は、定期的に検診を受けるため、病気の兆候に気づきやすい。 むしろ健康管理のためにもいいことなのでは。

種類はどんなものがあるの?

2種類のホルモンを一定の割合で配合した1相性、女性の自然なホルモンの変化に合わせて2段階に量を調節した2相性、3段階に分けて量を変え、配合してある3相性の3種類がある。 現在は1相性と3相性が主流。 3相性はより自然な分泌に近い状態でホルモンを配合してありますが、どちらを使うかは体質次第。 一方を使ってみて体に合わなければ、もう片方を試します。のみ忘れ防止のためのホルモンの入っていない偽薬(プラセボ)を含む28日用、偽薬なしの21日用、と錠剤の数も2種類。

ピルの画像

このページの先頭へ